技術士による技術者のブログ

技術士の支援と国産エンジニアの再興

想定外の事象が顕在化した場合の対応

 プロジェクト開始時には想定していなかった事象が、プロジェクト開始後に顕在化するということは、少ないかもしれませんが、起こりうることです。

 技術士の試験では、「想定しなかった事象とその対応を記載せよ」という出題が過去にありました。

 この際に、具体的な事象を思いつかず、回答用紙に一般的な事象を書いてしまいがちです。ここは、なるべく具体的な話を書いて、具体的な対応を書くことが求められていますので、自分の経験や想像力でリスクを挙げていく訓練も必要です。

 リスクの一例としては、東日本大震災のような「大災害によるプロジェクトの物理的中断」というものがあります。実際に今年も熊本で震災が頻発していますので、災害による物資の供給難という問題が起こった場合どのように対応するか?これは、結構重要な問題であり、様々なプロジェクトで具体的な対応案が必要になると思います。

 また、経済的なリスクとしては、クライアント資金難の問題や経済危機がありますので、資金トラブルが起きた際のBCP(事業継続計画)を考えておくことも必要でしょう。

 社会環境では、現在様々なプロジェクトが住民公開型で進められる傾向にあり、特に公共事業はそうですが、住民の大反対が生じた場合、にっちもさっちもいかなくなることがあります。事業開始時には反対されていなかったことも、世の時流で突然世間を敵にすることもあります。

 私の知るところでは、かつてクリーンなイメージだった風力発電施設が、ある時を境に急に悪いイメージを持たれるようになり(騒音やバードストライクが原因)、プロジェクトが凍結してた事例もあります。なかなか難しいとは思いますが、公的なものはできるだけ早い時期から事業内容を公開し、住民参加が可能なものであれば、計画から参加いただくという共同責任型をとれば、事業中断のリスクが減るものと想像します。

 また、人的なトラブルとしては、プロジェクトメンバーが事故などで離脱したり、雇用が不足、あるいは技術者の育成がうまくいかないなどのケースを想定し、緊急的に外部委託や全国組織対応するなどの措置を考えておくこともあります。

 最後に、情報関連では、盗聴やサイバー攻撃で機密情報が外部に漏れ、責任問題となったり、知的所有権が新たに発生して事業が方針転換せざるを得ないなど、近年はその頻度も高くなってきました。

 これらのリスクを具体的に考えておくことが、試験はもちろん、技術者がプロジェクトを俯瞰しながら成功に導く上で大変重要なことだと考えています。