技術士という資格を考える(1)
さて、私は、いろいろな分野の技術者が、資格を利用しながら社会で技術上の悩みを解決していくコンサルティングを行うことが一つの社会貢献と考えています。
実は私、今の業界に入るまで製造メーカーにおりまして、資格など取ろうと考えたことはありませんでした。なぜなら、資格は仕事の役に立たなかったのです。
ただし、それは「モノ」を相手にしている製造マンの時、特許や製品の性能向上を考えていれば良い20代の頃であり、人を相手にし始めてからは、資格もサービスの上で重要であることに気づきました。
●技術士受験者の皆さまは、資格をどのようなものとお考えでしょうか?●
一般的に、技術士は受験難度が高い技術系の資格であり、合格するための受験テクニック的な話が多くなりがちですが、私の実感として、合格者を見回しても『開店休業状態』の方が結構いるように思います。
つまり、技術士という「看板を掲げること」で満足し、実質お客が入らない時間を過ごしている「店主」が多いということです。資格は単なる看板であり、客が店に入るきっかけにはなっても、店の奥にいる本当の職人だけがリピーターを得られるのです。
講習会やセミナーで、ひたすらインプットを繰り返すもアウトプットがない技術者は、そもそも資格ですら人生の中ではインプットの一つでしかないことに、気付いて欲しいです。
話が横にそれました。技術士という資格は何のために必要か?という素朴な疑問を投げかけられたら、私は技術のコンサルティングを行うためと答えます。
技術的なコンサルタントとは何でしょう?誰かが知らない技術の知識を知っていることではありませんし、誰よりも技術的な経験が多いこととも少し違います。
コンサルティングとは、問題を解決する手段を考えることであり、知識だけでも経験だけでも足りません。おそらく、熱意や忍耐力も必要で、高い人間力が求められる職業だと考えています。 ですから、継続的な研鑽が必要であり、人との接し方も重要なのです。
では、続きはまた次回に。