第4次社会資本整備重点計画の戦略的維持管理とは
国交省の重点施策を確認します。
第4次社会資本整備の重点計画の中で、老朽化するインフラを長寿命化していくために、「社会資本の戦略的維持管理・更新を行う」と謳われています。
この「戦略的な」という表現は、近年よく使われ、英語で言う”strategic”のことですが、今一、ピンとこない言葉ですね。
ある意味将来を見通した計画的な…、という雰囲気でありましょうが、むしろ簡単に予想がつくインフラ構造物のメンテナンスではなく、自然災害など一律に予想できない、より対応が複雑な事象を対象とすべきではないか、と個人的には思うわけです。
そこで、「今後の社会資本の維持管理・更新の在り方について 答申」(H25/12)を見ると、「戦略的メンテナス思想」という説明があり、『個々の施設の実情に応じた対応を図ることが必要』と示されています。個々の実情に応じることが戦略的な思想というわけです。
一見、素晴らしいことが書いてあるようですが、悪くとれば、現場任せで基準を一律に設けないという話ですから、対応方法の判断にはかなりの熟度・経験が必要と思われます。
答申の中には「それを実施するための体制は十分か改めて確認を行う必要がある」とか、「施設の変状の進度は比較的緩やかで、兆候を捉えることが難しいため、その 把握のためには高度な技術力が必要・・(中略)・・このため、技術力を有する人材の育 成・確保が重要だが、小規模な地方公共団体等では自ら人材を確保・育成していくこと は困難との指摘もある」という不安な内容も書いてあります。
つまりは、戦略的にインフラを維持管理するためには、戦略的に人材を育成しなければならないという、根本的な問題に帰ってくるようです。
民間企業でも同じようなことがあると思いますが、どんなに掛け声は素晴らしくとも、足元を見ると組織の基本がなっていないというケースは少なくないのでは?。
我々技術者は、早い段階でこれに気づき、人材の育成に取り組む事、これが結果的に戦略的な対応として一番有効なのかと思う次第です。